【後編】【非認知能力を育む習い事】日本舞踊が子どもに伝えるのは、“強さ”ではなく“しなやかな美しさ”

2025.05.30
前編では、「子どもの習い事に日本舞踊ってどうなの?」という切り口で、子どもに与える所作や礼儀、文化的価値をご紹介しました。今回は、日本舞踊の言葉にしにくい感情の表現や、ひとつひとつの所作を丁寧に学ぶ中で育まれる“非認知能力”に注目。競わず、比べず、静かに育つしなやかな力――日本舞踊の奥深い魅力をお伝えします♪

目次

非認知能力って何?学力では測れない“生きる力”

最近、教育現場や子育て情報の中でよく耳にするようになった言葉――「非認知能力」。でも、それって一体どんな能力のことなのでしょうか?
非認知能力は「意欲」「自制心」「忍耐力」「協調性」「感情のコントロール」など、人間関係や社会生活、学びの土台になる力の総称です。2000年にノーベル経済学賞を受賞したジェームズ・J・ヘックマンが「社会格差を解決するために必要な、自制心や好奇心、協調性などの情緒や社会性にかかわる能力」として示した非認知能力は、日本では以前から「生きる力」「人間力」とも呼ばれ、これからの時代を生きるためには必要な不可欠な能力といえます。

具体的には
最後までやり遂げようとする粘り強さ
失敗しても「またやってみよう」と思える自己肯定感
周囲の状況や相手の気持ちを読み取る共感力
自分の感情をコントロールできる自制心
繰り返しの練習で育つ集中力

こうした“心の力”は数値化しにくいため、私たちも見落としてしまいがちですが、社会性や学力の土台となる力として、近年大きな注目を集めています。そして日本舞踊は、まさにこの非認知能力を豊かに育む習い事です。同じ所作を繰り返すことで集中力や持続力が養われ、小道具や空間への配慮を学ぶことで注意力や慎重さが育ちます。
さらに、発表の場で自分を表現し、人に見られる経験を重ねることで自己肯定感も高まります。習い事としての日本舞踊は、「強くなる」よりも「しなやかに育つ」ことに重きを置いています

 

“舞う”ことで育つ自己肯定感と集中力

日本舞踊のお稽古は、静かで淡々としているように見えるかもしれません。でも実際には、子どもたちはその中でしっかりと “自分と向き合う時間”を持っています。

● 少しずつできるようになる“体感”が自信につながる
日本舞踊の所作は、とても細やかです。足の運び、手の角度、目線、呼吸のタイミング…。最初はうまくできなくても、先生に教わった通りに一歩ずつ練習していくと、昨日より今日、少しうまくなっていると実感できる瞬間があります。その「できた!」という感覚が、自己肯定感の芽になります。それは誰かに勝ったとか、賞を取ったとかではない、自分の中での成長に気づく喜びです。

● 静かな動きの中で育つ“集中力”
日本舞踊の特徴は、「速さ」や「激しさ」を競うものではないこと。むしろ、ゆっくりとした動きを丁寧に重ねていくことが大切にされます。この「静けさの中で自分の体と気持ちをコントロールする時間」は、現代の子どもたちにとってとても貴重♪

 

言葉ではなく、所作で伝える力――表現力の土台に

人前で話すのが苦手な子どもたちにとって、日本舞踊は、言葉を使わずに自己表現ができる貴重な場となります。日本舞踊の世界では、物語や感情の“きび”を、セリフや歌ではなく、動きや姿勢、表情の変化のみで伝えるのです!

● ひとつの動きに“意味”が込められる
たとえば、扇子を開くだけでも、「風が吹く」「花が咲く」「人の心が動く」など、演目や心情によって意味が変わるのが日本舞踊の魅力です。こうした意味を知った子どもたちは、やがて動きに“気持ち”を込めるようになります。「ただ真似する」から「感じて表現する」へ——。このプロセスこそが、表現力を育てる土台になります♪

● 言葉では伝えきれない思いも、身体で表現できるように
日本舞踊では、「黙っているからこそ伝わること」が大切にされています。これは、内向的な子どもや、自分の気持ちを言葉で伝えるのが苦手な子にとって、安心できる自己表現のかたちになることもあります。 誰かに見てもらうことで、「自分にも伝えられるものがあるんだ」と実感し、表現することに前向きになれる——その経験が、やがて学校生活や人間関係の中でも生きる力になっていくのです♪

 

日本文化とのふれあいが感性を豊かにする理由

日本舞踊は、四季や自然、古典文学、風習など、日本の美意識が凝縮された芸術です。子どもたちは踊りを通して、自然や文化と深く触れ合いながら感性を育んでいきます。演目には季節の風景や自然音が多く含まれ、それを身体で表現する中で、知識ではなく感覚として季節の移ろいを感じ取れるようになります。また、着物や扇子、畳といった日常では得難い“和”の体験を五感で味わうことで、文化が記憶と感情に刻まれ、自分の中に「心のふるさと」が生まれていくのです♪

 

習い事としてのリアル|費用・頻度・対象年齢

● 月謝の相場:5,000~8,000円/月
● 入会金・発表会費:発表会は年1回開催されることが多く、衣装代などが別途必要な場合があります。
● 着物の準備:初心者は浴衣や簡易着物からスタート。レンタル制度を用意している教室も多数あります。
● 対象年齢:おおむね3歳~小学生が中心。1歳などの小さなお子さんも学べる“親子で学べるクラス”も人気です。
● 通う頻度:週1~2回が基本。学業や他の習い事との両立もしやすいペースです。

費用面では、ピアノやバレエなど他の芸術系習い事と同程度か、やや安価な教室も多く、「和の習い事」としては比較的始めやすいのが魅力♪




日本舞踊は、速さや激しさ、派手な技を競うスポーツではありません。大切にされているのは、「静けさの中で自分と向き合うこと」です。

● 一つひとつの動作に意味を込める
● 言葉を使わずに、心を表現する
● 四季や文化に触れて、感性を深める
● 他人と比べず、自分のリズムで進む

こうした時間の積み重ねが、子どもの中に“芯のあるしなやかさ”を育てていきます。日本舞踊は、テストの点数に表れないかもしれませんが、これからの時代に必要とされる「自ら考え、感じ、動く力」をじっくりと養ってくれる習い事です♪

お近くの日本舞踊教室を探すなら、習い事検索サイト「mitete step!」が便利です。ぜひチェックしてみてください♪

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